『ソニックX』エピソード47、元ネタ解説
どうかしてる大胆で奇抜な演出の回が多いのが特徴の作品です。
例として・・・・・・
・メタフィクションネタを盛り込む。
・オフコースの歌を挿入歌として流す(さすがにDVD版では別の曲に差し替わった)。
・最終回近くで人間の少年がソニックを拉致、愛の逃避行をする。
何だかんだ言って俺は好きですけどね、このアニメ。
その中でも俺が特にスタッフが暴走してると思った印象に残っている話は、
・エピソード47『緯度0大決戦!!』
・エピソード48『ソニック対地底怪獣』
の2つの話です。
『ゴジラ』シリーズなどの東宝特撮映画シリーズにオマージュを捧げている、マニア必見のパロディ回。
しかしそれらを知らない人からすれば、異色な雰囲気に感じる特撮回です。
知らなくても楽しめるとは思います。
ですが自分が大好きな「ソニックと東宝特撮映画がコラボする。しかも2話連続」
これはもう、俺にとっては吐血してぶっ倒れるほど嬉しいものでした。
アニメ版『星のカービィ』では、『モスラ』のパロディ回がありましたし、ゲーム原作もののアニメって、意外と東宝特撮映画とコラボしやすいのかもしれません。
あっちもいろいろとぶっ飛んだアニメだったし。
ゲームだっていくつか出してるし。
・・・・・・知る人ぞ知る、ジャイアント芹沢博士のことは一生忘れないでしょう。
前置きが長くなってしまいました。
今回は、この2つの話に出てきた元ネタを2回にわけて紹介していこうかと。
と言っても全ての元ネタを紹介、解説するわけではありません。
あまりにも多いので、特に目立った箇所や個人的に「おっ!」ってなった部分のみにしておきます。
ストーリーも特撮寄りですが、内容の考察は抜きにし、ビジュアルや演出を重視。
何せ、それほどの数をパロディしまくっているので。
それでも、スタッフがいかに東宝特撮映画を愛しているのかが伝わるはずです。
俺独自の解釈による、こじつけもあるかもしれませんが。
ではさっそく、エピソード47から。
・エピソード47『緯度0大決戦』 〜あらすじ〜
前回のあまりにも悲しい最後から事態は一変、トパーズたちが乗った調査船“シーホーク号”が消息を絶った。何者かの妨害工作にあったのだ。
そんな中、考古学者アツミ教授が保管していた古代の地図がエッグマンたちに奪われた。
エッグマンたちはその地図をもとに“世界のへそ”の位置を発見し、新たな作戦に出る!(DVDパッケージ裏のあらすじより引用)
「どんなパロディネタが待ってるかな?」と思った矢先、最初からやってくれました。
・・・・・・どう見ても東宝ロゴのパロディです。
ありがとうございます!
そしてエピソード47の題名『緯度0大決戦』。
1969年に公開された東宝特撮映画『緯度0大作戦』から。
ややマイナーな作品ですが、日米共同制作でスケールが大きく、隠れた名作(迷作)。
さて、物語序盤で消息を絶ったシーホーク号ですが、これは『キングコング対ゴジラ』に出てきた調査用の原潜と同じ船名。
元になった映画でも、似たような運命を辿ります。
そして海面下が光ると、ろくなことが起こらないのは特撮作品のお約束。
ゲストキャラの考古地球物理学者、アツミ・ジュン博士。
演じるのは佐原健二さん。
声優ではなく俳優で、アニメ出演もこの作品のみ。
東宝特撮作品の常連で、『ゴジラ』シリーズなど多数の作品に出演されている方。
特撮ファンで、この方を知らない人はモグリと言っても過言ではないでしょう。
作中で佐原健二さん演じる「アツミ・ジュン」。
「アツミ」は東宝特撮映画『地球防衛軍』の主人公、渥美譲治から。
「ジュン」は空想特撮シリーズ『ウルトラQ』の主人公、万城目淳からではないかと。
もちろん、上記の主人公を演じたのは佐原健二さんです。
何かがとてつもないことが起こり、現地へ調査団を派遣する。
この流れが1954年に公開された、超名作の初代『ゴジラ』と一緒。
見送る場面もそっくりです。
中盤、いつものようにエッグマンに絡まれて戦っている中、軍がある戦艦で駆けつけます。
それはエッグマンが海底に置きっぱなしにしたエッグフォート1を改良したもの。
見るからに1963年に公開された東宝特撮映画『海底軍艦』で初登場した轟天号をベースにしたものかと。
陸・海・空、全てで行動できるカッチョイイ万能戦艦です。
何やかんやでソニック達の活躍によってエッグマンとの戦いが終わり、一段落した際にアツミ博士が「やっぱりアクションシーンになると、私は目立たないんだな」と呟く。
アツミ博士演じる佐原健二さん、以前まではソニック達のような体を張ったヒーロー役が多かったのに、今では博士ポジションだもんなあ。
実写作品でもアニメでも、それは同じ。
何かちょっと切なくなったり。
しかしこれで一件落着とはいかなかった。
エッグマンは今回の野望を諦めたように見えたものの、アツミ博士はこう呟きます。
「私にはあのエッグマンが、世界のへそを諦めたとはどうしても思えない」
不穏な動きを匂わせるラストが、初代『ゴジラ』終盤の演出、台詞と似ています。
ゴジラを撃退し、何とか平和を取り戻したものの・・・・・・古生物学者の山根博士はこう呟きます。
・・・・・・別に俺はエッグマンをゴジラ扱いしているわけではありませんので。
あのしぶとさと強靭さはゴジラ並みかもしれないけど。
そして・・・・・・
ところがどっこい・・・・・・
フェイントでしたね。
というわけで、次回はエピソード48について解説していきます。